こんちには!アニメ背景の仕事をしているぺいといいます。
きっと今この文章を読んでくれているあなたは少なからず絵の仕事に興味がありますよね?
学生さんだったり、はたまた転職を考えている社会人の方だったりといろいろかと思います。
僕は今現在アニメーションの背景会社にてプロの背景マンとしてお仕事をさせてもらっていますが、それまでは何の変哲もない文系大学の学生で、絵に関する専門的な勉強をするような学校に通っていたわけではありませんでした。
そんな僕がどうやって全くの素人からアニメ背景の会社に就職することができたのか?
そのために学生時代に実践したことをご紹介したいと思います。
これから絵の仕事に就こうと考えている方の参考になればうれしいです。
アニメ背景を目指したい人向けにアニメ背景の専門用語をまとめた電子書籍を作りました!
業界への就職の不安を取り除ける内容になっていますのでぜひチェックしてみてください。
絵の仕事に就職するために素人文系大学生がやったことを全て公開
現在は、アニメ背景の会社に勤めて、アニメの背景を描きまくる日々ですが、就職活動時には数社のゲーム会社なども採用試験を受けさせていただき、数社から内定をいただいていました。
大学に入った段階の自分は、絵は好きなくらいで特にちゃんと描く勉強もしたことがなく、完全な素人でした。
そこから就活時の大学4回生の春(約3年間)までに、ようなことをして絵の仕事に就くにいたったのか、そのためにやったことを全て公開してみます。
ちなみに、大学入学から就活までは約3年間ありましたが、実際に本腰を入れて絵の勉強をしたのは正味1年間といった感じでした。
つまり1年間本気で努力すれば、全くの素人から絵の仕事(自分の場合は背景美術)のつくことができる可能性があるということで、その一例を参考までに紹介していきたいと思います。
デジタルペイントソフト(Photoshop・Sai)・ペンタブを購入
そもそも、自分が大学生になって絵を描くきっかけをくれたのは友人でした。
それまであまりパソコンなどにも詳しくなかった自分は、その時友人から教えてもらって初めて「パソコンで絵を描く」ということを知りました。
そしてそのためには、パソコン以外にペイント用の専用ソフトとペンタブ(パソコンで絵を描くための板とペンのようなデバイス)が必要であると知りました。
最初は本当に安い簡易的なペンタブと、友人に教えてもらった「Sai」というデジタルペイントソフトを購入してパソコンで絵を描くということを始めました。
ちなみに、この後イラストを本格的に描いていくためにソフトは「Adobe Photoshop」
ペンタブはワコムの「Intuos4」を購入しました。
もし本格的に、仕事として絵を描く勉強をしていきたいと思っているなら最初から「Photoshop」とワコムの性能のいいペンタブは最低限必要な初期投資として用意することをおすすめします。 |
ペイントソフト(Photoshop・Sai)の使い方をネットと本から学ぶ
当時パソコンがそこまで得意ではなかった自分は、いざペイントソフトを買っても使い方が全く分からなかったので、まずはソフトを使って絵を描くための基本的な知識を学べる書籍やネット情報などを勉強して、ソフトの使い方を身に着けようとしました。
本当の最初の一歩は本当に何もわからないことだらけ、特にフォトショップは使い方が複雑なので基礎的なことは書籍からじっくり学ぶことをおすすめします。
ただ、すごい細かいことまで本から勉強する必要はそこまでないと思っていて、基本的な知識を身に着けたらあとはとにかく実際に絵を描くことに使ってみて、その制作過程で分からないことがあればその都度調べて覚えていくのがとても効率的で実践的です。
フォトショを買ったはいいものの使い方を調べているうちに挫折してしまう・・・なんてこともあるあるなので注意しましょう。
【挫折してしまうのが心配な方へ・・】
挫折してしまうのが心配という方は、オンライントレーニング動画講座がセットになっているヒューマンアカデミー通信講座「たのまな」がおススメです。
下のリンクから内容をチェックしてみてください。
ちなみに、Photoshopのノウハウはこのブログでも様々な記事を公開しているのでよかったら参考にしてみてください。
とにかく下手くそなりに絵を描いてみる
先ほどちょろっと言いましたが、書籍などでソフトの基礎的な使い方を覚えたらとにかく下手くそなりにどんどん絵を描いてみましょう。
おそらく多くの場合、最初はまともに筆圧も色もなにもかもコントロールできずに膨大な時間がかかったうえでひどい絵が出来上がると思います。僕もそうでした。
でもとにかく下手くそでもなんでもいいからとにかくいろいろ描いてみることで自然とソフトの使い方やペンタブの使い方にも慣れてどんどん問題点を発見しては解決していけます。
何事も最初は分からないことだらけが当たり前です。
書籍などの文字情報からの記憶よりも、自分の失敗から得た知識のほうが何倍も効率的に自分のスキルとして吸収していけますので恐れずに下手くそな自分と向き合って挑戦しましょう。
イラスト技法書などで絵の基本的な知識を付ける
まずはたくさん色々描いてみて、「下手くそな絵しか描けないなぁ・・・なんでだろう?どうすれば上手に描けるんだ・・・」という悩みが尽きなかったのでいくつかためになりそうなイラストの描き方の技法書・解説書を購入してイラストの基本的な知識を得ました。
プロの方の書かれている本からは・・
・基本的なパースの知識
・遠近法の使い方や法則 ・ライティングの知識 ・制作過程の雰囲気 |
などを学ぶことができました。
今はネット社会ですので、書籍に限らずネット上には様々な有益な情報が転がっています。
がむしゃらに描きまくったら次はきちんと知識もつけて絵を描けるようになっていきましょう。
【オススメ書籍】
上手な人や好きな絵の作業工程を観察して勉強する
書籍から学ぶことと似ていますが、上手な人の作品や自分の好きな目標とするような絵師の方の作業工程・完成作品を徹底的に観察してなぜ上手なのかを観察しまくりました。
自分が大学生のころはpixivでのイラストメイキング公開やUstreamやニコニコ動画での作業配信が流行り出していたので、そういったソースから勉強をさせてもらいました。
特に、地塗りの雰囲気や色の選び方、仕上げの方法などその方が実際にやっている技法を徹底的に観察して実際に自分の絵で試してみたりと試行錯誤を繰り返しました。
このブログでもメイキングや描き方のノウハウはいろいろと公開しているのでぜひ参考にしてみてください。
四六時中絵のことを考えて日常の風景を観察しまくる
本格的に絵を描き始めてメンタル面にも変化がありました。
それは、とにかく四六時中絵のことを考えて生活するということです。
描いた絵の反省点や、次に描きたい絵のイメージをすることはもちろん、日常の何気ない風景や家の中の景色にも常に意識を敏感に持って、徹底的に観察しまくりそしてそこから知識とイメージで絵の妄想を膨らませるということをやりました。
何気ない路地裏の景色や、電柱の影の落ち方、電気の光具合までありとあらゆるものに神経をとがらせて観察する癖をつけました。
必ず1週間に1作品以上描き上げるノルマを続ける
本格的に絵を仕事にしたいと思ったのが大学3年生の夏ごろだったのですが、それから就活のためにポートフォリオを作るためにも、1週間に必ず1作品以上きちんとした作品を描き上げるという目標を立てました。
実際3年生の秋ごろから就職活動が終わるまではこのノルマを続けました。
ポートフォリオを作る目的以外に、同人イベントに画集を出すという目標も同時に掲げて、モチベーションを高めました。
どうしても就職するためとか仕事のために描くという意識だと辛くて挫折してしまいがちだと思うので、個人的なアクティブな目標を掲げて努力を続けることがポイントだと思います。
描くたびに反省点と修正点を考えて次に生かす
全力で1枚を描き上げると、達成感や満足感と同時に、作品を描く中で生まれた反省点などが浮き彫りになります。
これには、とにかく全力で一枚絵を最後まで描き上げるということが大切で、そうすれば次に描く絵では確実に以前の絵よりも上手な絵を描いていくことができるようになります。
例えば、
「植物を描くときはもっとこんなブラシでこんなタッチで描いたほうが上手くいきそう・・・」
「地塗りの段階ではまず第一に全体のコントラストを整えることを意識しよう」
知識を入れただけでは体感できない、描いてみて学べることがたくさん出てくると思います。
その貴重な学びを感じ取って、確実に次の絵に活かしていくことが大切だと思います。
イラスト投稿サイト「Pixiv」に絵を投稿することでモチベーションUP!
イラストをたくさん描けとはいうものの、人はなかなかモチベーションを維持することが難しいものです。
モチベーションを保つ、UPさせるために工夫できることはいくつもあると思いますが、個人的にはイラストSNSの「Pixiv」に自分の描いたイラストを投稿して、その反応をモチベーションにしていました。
最近はTwitterなどのSNSでも積極的に作品を公開しています。
もちろん最初はあまり多くの方にはみてもらえず、反応も少ないきつい時期もありますが、それすらもさらに頑張るための刺激に変えて頑張りました。
自分よがりでなく、他者の反応を見て「いい反応をもらえた絵」と「いまいちな反応の絵」を分析して、自分の絵のいいところや逆に悪いところを考えるきっかけにもなっていました。
鉛筆デッサンを勉強する
ちょっと話が変わりますが、デジタルイラストというか絵・デザインにかかわるなら誰もが常に練習し続けるべきなのがデッサンかと思います。
当時まったくデッサンの知識がなかった自分は、数か月間だけ週1のデッサン教室てきなものに通って鉛筆デッサンの基本を教えてもらい、デッサンの練習もしました。
かなり拙いレベルではありましたが、画面のなかのライティングの構成力のためにもやっておいてよかったことの一つです。
いまでも暇なときに簡単なデッサンをやってみたりします。
就職活動に向けてポートフォリオを作る
大学3回生の終わりごろから、いよいよ就職に向けて具体的な準備を始めました。
絵の仕事に就くためには、通常の仕事と違い採用の判断要素に当然「絵」が含まれます。
そのため履歴書とは別に自分の作品をまとめた「ポートフォリオ」という自分の絵描きとしての自己紹介本のようなものを作る必要がありました。
ポートフォリオには、
・履歴書的なページ
・自分が絵の仕事を志している動機や目標を書くページ ・自分の作品ページ |
などを設けました。
自分の作品のページには、作品の製作時間、こだわったポイントなどの紹介文、描くために用意した参考資料(自分で撮ってきた写真)などを一緒にのせて自分のモノづくりに対する想いを伝えられるような構成にしました。
作品の構成は、自分の色を出しつつもいろいろな要素を持った絵をバランスよく収録するといいと思います。
自分の例であれば、
・自然物の絵
・人工物の絵 ・昼/夕方/夜の絵 ・ファンタジー色の強い絵 ・現実世界の絵 ・キャラクターの絵 ・デッサン作品 ・模写作品 |
などいろいろな要素の絵を取り入れました。
就職活動のために「クリ博」に登録し、企業説明会に参加
就活にあたって多くの方がリクルートなどの就活系サイトに登録すると思いますが、クリエイターを目指す人に特化した就活サイト「クリ博」に登録しました。
日々、クリエイターを募集している企業の情報を集めながら、クリエイター向けの企業説明会に参加したりしました。
企業説明会ではどのような技術やモチベーションが求められているのかを肌で感じることができますし、自身のポートフォリオにアドバイスをもらえたりなどとても有意義だと思います。
絵の仕事に就職するために素人文系大学生がやったことまとめ
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全くの素人から、美大や絵の専門学校には基本的に通わずに、約3年(正味1年)でアニメ背景会社に就職するまでにやったことを紹介しました。
結局のところ大切なのは、どれだけ自分の頭で考えて努力するかというところだと思います。
基礎的な知識を身に着けたらあとはひたすら実践。その実践の中で新しい学びを得ていくことが最速で成長できる方法かなと思います。
絵の仕事を目指している人、特に背景美術の仕事に興味のある人は
今回の記事を参考に、ぜひ頑張ってみてください。
アニメ背景の仕事に興味のある方はぜひ下記の記事も合わせて読んでみてください。参考になると思います。
アニメの背景を描く「背景美術」ってどんな仕事?どうすればなれる?
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