風景画の描き方・手順をアニメ背景のプロが初心者向けに徹底解説

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こんにちは!普段アニメ背景の仕事をしているぺいと申します!

今回は、仕事レベルで毎日「背景・風景画」を描いている立場から

初心者にも分かりやすく風景画を描いていく手順を解説していきます。

 

僕の普段使っているPhotoshopというお絵かきツールを使っての解説となるので、デジタルイラストを描いている方には特に有益ですが、アナログで絵の具を使って描く人にとってもとても参考になる有料級の記事になっていいますのでぜひ最後までごらんください。

 

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描きたい風景を考えるor写真を用意する

まずはどんな風景画を描きたいのか、自分でイメージしてみましょう。

初心者の方は、最初から複雑すぎる構図やモチーフを選んでしまうと挫折しがちなので、シンプルなものにすることをオススメします。

例えば、複雑な街の絵などは遠近法などの細かい知識が必要だったり、膨大な時間がかかるので、

まずは草原や山などの単純な自然物などに挑戦してみることをオススメします。

ちなみに、描きたいモチーフは自分のイメージだけではなく、写真などを利用するのもアリです。

その際初心者の方は、この後のレイアウトの描き起こしの段階で、ある程度余計な情報量は排除して、絵として描きやすい感じにデフォルメしたり、要素を削ったりすると上手くいきやすいです。

 

風景画のレイアウトを描く

実際に絵を描いていくために、まずは絵のレイアウトを描いていきます。

白いカンバスに線でデザインを描き起こしていく作業です。

 

この時、意識したいことが「地平線(アイレベル)」の位置です。

地平線の位置をある程度画面の中に決めてしまうことで、レイアウトを描く時の指針になります。

アイレベルよりも上に来る景色は見上げる角度になり、アイレベルよりも下に来る景色は見下ろす角度で見えます。

 

また、パース(遠近感)を考えて描くことも大切です。

近くにあるものはモノの大きさや厚みをしっかりと描き起こし、遠くにあるものほど大きさを小さく、厚みもつぶしてシルエット的描いてあげると遠近感のあるレイアウトを描くことができます。

パースやアイレベルがわからない方、詳しく知りたい方はこちらの記事↓で勉強しておきましょう。

パース(遠近法)がわかると絵が劇的に上手くなる!プロが徹底解説!

 

 

風景画全体の地塗りをする  ~描き方のポイントは?~

レイアウトが完成したら、早速色を塗っていきます。

まずは「地塗り」といって、絵全体の下地になるような色をラフに塗っていきます。

画面の奥の景色から、大きい面積の部分から順に地塗りを作っていくのがポイントです。

下の例でいえば、空・山・手前の地面や茂みなどに大きく分けて、ざっくりと雰囲気を作ります。

ライティング(光の当たり方)を意識して、この段階で大まかに影面と明るい面を塗分けてしまうと描きやすくなります。

この「地塗り」では、それぞれのモチーフをあまり細かく描きこまずに、全体の色味・コントラストのバランスをとることに意識を向けることが大切です。

また、完成イメージの「一番暗い色」と「一番明るい色」はこの段階では使わずに、「中間色」をつかって画面を構成するのもポイントです。

また、遠くのものほど淡く表現する空気遠近法についても意識して色味を作りましょう。

空気遠近法については次の項目で説明します。

 

遠景の風景から描きこんでいく【空気遠近法を意識】

 

全体の地塗りが完成したら、可能な限り奥の景色、つまり「遠景」の部分からより細かい描きこみをしていきましょう。

なぜ遠景からなのかというと、

アナログの場合は手前を先に描いてしまうと奥の描きこみがしにくくなりますし、

絵全体の描きこみのバランスという意味でも、遠景から始めて徐々に手前にかけて描きこみ量を増やしていったほうが絵の遠近感を出しやすくなるためです。

例外として、デジタルイラストの場合は状況に応じて先に手前のモノを描いてしまって、それを基準に奥の景色をコントロールしていくことも可能です。

 

一般的に、描きこみ量の多いモノのほうが、描きこみ量の少ないものよりも近くにあるものだと感じられます。

この原理を利用して、描きこみに差をつけて遠近感を表現しましょう。

 

色味に関しても、遠景の景色のほうが近景に比べて淡い色で表現します。

逆に、近景は奥の山の景色に比べて「より強い暗い色」と「より明るい色」を使って描き上げていきます。

 

これは「空気遠近法」を利用した表現で、遠くの景色ほど空気中のチリや大気の厚みの影響を受けて、淡くぼやけて見える現象を利用しています。

 

空気遠近法についてより詳しく知りたい方はこちらの記事↓を読むとより理解が深まると思います。

空気遠近法を理解して遠近感のある広大な景色を描く方法

 

近景の風景の描きこみ 【質感表現の意識】

さきほどの空気遠近法の理論を意識して、近景の描きこみは徐々にコントラストをあげてより細かく描いていきます。

この「細かく描く」というのは、形を細かく追っていくこと以外に、

モノの「質感」をより細かく表現していくということでもあります。

 

今回の例でいえば、岩と茂みを描きこんでいくわけですが、

・岩の表面のごつごつとした質感

・細かい苔などの湿度表現

・影面の少し濡れたようなぬめっとしたような質感

など、近くにあるからこそ感じられるシルエット以上の情報を絵として表現してあげる意識を持つことで、より近景と遠景との距離感が感じられる絵に仕上がります。

 

ただし、注意としてこの質感表現にこだわるのは絵の仕上げ段階に近づいてきてからにすることがポイントです。

質感表現に意識をとられてしまって、全体の構成がバラバラになってしまっては元も子もありません。

画面全体での描きこみのバランスが取れたうえで、必要な距離感の場所にのみ質感表現を書き足してあげると、絵の仕上がりをぐっとUPさせることにつながります!

 

風景画を仕上げる【モヤを描きこんで大きな距離を表現する】

最後の仕上げです。

現状でも近景の茂みと遠景の山の距離感はコントラストや描きこみによって差をつけて表現できていますが、「さらに大きな距離感」を表現するために、モヤを使って大胆に空気遠近法を表現します。

 

うすーく塗れるブラシを選択してやんわりと霧のようなタッチを入れてあげます。

こうすることによって、近景と遠景のコントラストの差がよりハッキリとして、かなり山までの距離感が遠くなります。

こうすることによって、山の雄大なスケール感を表現することにも繋がりますし、絵としての見た目もよりスッキリしました。

 

もし絵を描いていて、思ったように距離感が出ないときは、裏ワザとしてこのようなモヤ・霧を使った空気遠近の表現を使ってみるといいでしょう。

この方法は外のかなり広い空間の絵を描いているときや、かなりガスっていて天気が悪い時限定の手法になります。

晴れている街中や室内など、空気遠近があまり強く現れない場所で使用すると不自然な感じになってしまうので注意しましょう。

 

風景画の描き方・手順まとめ

・絵のアイディアや写真を用意する

・アイレベルを意識してレイアウトを描き起こす

・面積の大きい部分を中心に「地塗り」をして全体の色味を作る

・空気遠近法を意識して、遠景から描きこみをしていく。

・近景を描きこむときは、シルエットだけでなく「質感」表現にもこだわる

・広大な距離感を表現するときは「モヤ」を上手につかって空気遠近法を表現する

 ただし、使いどころに注意する。

今回紹介した風景画の描き方はほんの一例ですが、自然物で構成された風景を描くときの基本となる考え方になります。

ぜひチャレンジしてみてください。

他にもっと風景画の描き方を学びたいという人は、ぜひ↓の記事も読んでみてください。

 

 

 

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