青空に浮かぶ白い雲・・・
絵を描くみなさんは青空の絵ってよく描きますよね。
しかし・・
「雲ってフワフワしていて実体がなくてとらえどころがない・・・!」
「なんだかパッとしないかっこ悪い空になってしまう・・・」
誰でもそんな経験があるかと思います。僕もそうでした・・・笑。
そこで今回は、かっこいい空・雲を描くための基礎知識と重要なポイントを初心者向けに解説していきたいと思います。
雲の描き方関連動画
こちらの動画で今回の雲・空の描き方を動画形式で実演しています。
動画のほうが細かいブラシの動きなどがわかってより参考になると思うのでぜひみてみてください。
雲を描いたことあるよってかたも、まだ描いたことない方も、この記事を読めばきっと雲を描くコツをつかめるはずです!
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雲のシルエットの描き方について
雲といってもいろいろな種類の雲がありますが、今回は一般的な青空の絵に用いるような「積雲」(わた雲)のシルエットの考え方についてです。
大事なポイントは
・規則的にならず、ランダムな形にする
・左右非対称な形にする
・エッジ(雲の輪郭)は基本やわらかく、所々硬さに差をつける
この3点です。
まず、雲というのは自然物なので、あまり規則的な形状が連続して続くと違和感を感じて変に見えてしまいます。
絵として描く際にはとりわけ形のランダム性・複雑性を意識して描くことが大切です。
次に、雲のシルエットがあまりにも左右対称っぽくならないことです。
これは慣れていても気を抜くといつのまにか陥ってしまいがちなミスです。
下の悪い例は、左右の特に端の形が左右どちらも同じようにすぼんでいてなんだか不格好な感じです。いい例は左右非対称で自然に見えますよね。
描いていてつい左右対称気味な形になってしまった場合は左右どちらかの形を崩してあげることで不自然さを和らげることができます。
雲は基本的にフワッとした見た目をしているので、シルエットが硬すぎるのはよくありません。しかし、部分的に密度が高く見える箇所もあるので、絵として描く際には硬さや濃度のランダムさも出していくとよりいい感じに雲っぽくなります。
この硬さのランダム性は、描くときにも意識しますが、一旦形を整えたあとに消しゴムツールを使って ”削っていく” ことで複雑さを上手く表現することができます。
雲のシルエットは描く(足し算)だけでなく消す(引き算)もして作るように意識しましょう。
雲の配置と形状について
パース感を意識した配置と形状にする
雲を空に配置するときに、「なんだかしっくりこないな・・?」という時ってありますよね。
その原因のほとんどは、雲の形状や見え方がパースに合っていないことが原因です。
空には建物などがなく分かりにくいかもしれませんが、当然空にもパースは存在します。
絵で空を描く際には、実際にパースラインを引いてみるといいです。
ここで、分かりやすく説明するために、雲をデフォルメして半球のような形としてとらえます。
先ほど作ったパースラインに合わせて、半球を空に配置してみます。
するとこのように、手前に来るほど見上げる角度になるので、半球の底面がよく見えます。そして底面の高さも高くなります。
逆に奥に行くほど半球を横位置から見る角度になり、底面がつぶれて見えにくくなります。その結果、アイレベルに近づくにつれて底面は平らにつぶれていきます。
このことから、実際の雲を配置する際にも
奥の雲はつぶれて細長く、高さのない底の平らな雲
手前に来るにつれて、大きく、高さがあり、底面の面積の大きい雲
といったように雲のシルエットの差をつけていくことでパースにあった雲の構成を作ることが出来ます。
雲を配置する際にもう一つ、「奥に行くほどパースがつぶれて雲が重なり合って見える」ということを意識しておいてください。
どういうことかというと、奥(遠く)にいくにつれて雲と雲の見た目上の間隔がどんどん狭くなっていきます。そして、アイレベル付近では雲と雲の見た目上の間隔がなくなり、結果として雲同士がつながって大きな細長い雲のように見えることになります。
このことを意識して、アイレベル付近では雲の密度をあげていき横に細長く繋がったような雲のシルエットを描くようにすると自然な見え方・パース感を作ることができます。
雲の大きさにバラつき・ランダム性をつける
パースに合わせるだけでは自然な空は作れません。雲の大きさにも注目しましょう。
繰り返しになりますが、雲は自然物です。なので雲自体の大きさも均一にならないように気を付ける必要があります。
大き雲もあれば小さい雲、ちぎれたような細かい雲と雲のボリュームにもバリエーションを持たせるようにしましょう。
雲の影色について
青空に浮かぶ雲の影面はどんな色がいいでしょうか?
絵としてのなじみを考えると、青空の環境色を混ぜこむのがオススメです。
実際に白い雲を単純な明暗で影つけした場合と、青みを混ぜた影つけをした場合を見比べてみましょう。
青みのある影のほうが背景の青空になじんでいるように見えると思います。
このほかに、バリエーションとして、絵に表情を持たせるためにあえて薄いピンクや黄色などを混ぜこんで色調豊かな表現にする場合もあります。スタジオジブリ作品や新海誠監督作品などにみられる配色です。
いずれにせよ、単純な白黒の上げ下げで影色を作らずに、青みを基調に色味をつけて影つけするといいでしょう。
実際に積雲を描いてみよう
ここまで解説してきた雲を描くためのポイントを意識しながら実際に積雲を描いてみましょう。
雲ブラシの作り方についてはこちらの記事を参考にしてみてください。
まず青空をベースにおいたら、エッジがやわらかめのブラシを使って大雑把に雲のシルエットを描いていきます。
左右対称で単純な構成にならないように気を付けましょう。
大体の形が取れたら、さらに細かく形を描きこんでいきます。
ブラシで描きこむだけでなく、消しゴムツールを使って削ることで形の複雑さを作っていきましょう。
シルエットが決まったら影色で、影面を描いていきます。
影色は青空の青を反映した色を選択しましょう。コツとしては、雲のエッジの薄くなって背景の青を透けさせている色をスポイトで拾い、その色を基準に影色を作るとなじみが良くなります。
実践!絵の中に空と雲を描きこんでいく手順
それでは実際に青空と雲を描いていきます。
今回は、下の田園風景と山の絵の背景として青空を描いてきます。
まず、青空のグラデーションを作ります。
この際、「空気遠近法」を考慮して、下のほうの空(遠くの空)になるにつれて明るく、手前に来るほど暗くグラデーションをつけます。
濃い部分は青みを強く、明るい部分は若干緑に振って水色系でグラデーションを作ります。
空気遠近法について詳しく知りたい方は
空気遠近法を理解すると遠近感のある広大な背景が描けるようになる
こちらの記事をぜひ読んでみてください。風景画を描くうえで大切なことをお伝えしています!
次に、ガイドとして、空にパースラインを作ります。
この線をアタリとして、雲のパース感をコントロールしていきます。
上のほうにある雲ほど雲が大きく、下側の面が見えます。そして、雲と雲の間隔も大きくし密度感を少なくします。
アイレベル付近に近づくにつれ、雲の下の面がつぶれて水平に近くなっていきます。
雲の間隔も狭くなり、密度感が濃くなります。
上記の点を意識しながら、早速遠景の雲から描いていきます。
薄く、細長く、下側の辺を水平に近くなるように意識しながら雲の塊を描いていきます。
この時、空気遠近法を考慮して、雲の色を白ではなく青系に強く振った色を選択すると遠くの雲であることを演出できます。
少し手前にある雲を、最奥遠景の雲よりも少し高さのあるシルエットで描いていきます。
このぐらいの角度の雲だと底辺部分はまだある程度平らで、影面もほどんど見えなくて大丈夫です。
さらに手前の雲を描いていきます。
さらに高さのあるシルエットを意識し、影面となる底面が少し見えるようになります。
底辺の形状も水平ではなく少しぼこぼことした形を意識しましょう。
画面上の一番手前にある雲を描いていきます。
ある程度見上げる角度の雲なので、影面となる底面の面積がかなり大きく、高さのあるシルエットの雲になっています。
画面全体のバランスを見て、細かいちぢれ雲も追加しました。
全体を見ると雲と雲の間隔が、遠景~近景に近づくにつれてだんだんと大きくなってきていることが分かるかと思います。
最後に、高層にある薄雲をうっすらと描いて絵としては完成です!
まとめ
【雲の形状】
・規則的にならず、ランダムな形にする ・左右非対称な形にする ・エッジ(雲の輪郭)は基本やわらかく、所々硬さに差をつける
【雲の配置】 ・パースに合わせて、影面の面積を調整したり、高さをつけたり、つぶしたりする ・同じような大きさにならないように、雲のボリュームをバラつかせる
【雲の色味】 ・空気遠近法を考慮して、遠景ほどコントラスト淡く、青みを強くする ・影色は青空の環境色を考慮して、若干青みのある影色にする |
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