こんにちは!
現役で背景美術の仕事をしているぺいと申します!
アニメの背景や背景を描く仕事に興味を持ってこのページを訪れてくれてありがとうございます!
アニメの背景を描く仕事は「背景美術」と呼ばれていて
その仕事をしている人たちを「背景マン」なんて呼んだりします。
しかし残念なことにアニメの仕事の中でもアニメーターと違ってわりとマイナーといえる背景美術の仕事はあまり世間に知られていないですよね(笑)。
そこで!現役でアニメーション背景の現場の第一線で働いている経験から
リアルなアニメの背景美術の仕事の内容について紹介し
これから背景マンを目指したい!という方に向けてどうすれば背景美術の仕事につけるのかについての考えもご紹介していきたいと思います。
アニメが好きな方や、背景じゃなくてもこれから絵の仕事をしていきたいと考えている方にも有益な情報になっていると思うのでぜひ最後までお付き合いください♪
今回の記事の内容を深堀して、そのほかのアニメ背景の専門用語も網羅的にまとめた
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業界への就職の不安を取り除ける内容になっていますのでぜひチェックしてみてください。
【参考記事】
絵の仕事に就職するために素人文系大学生がやったことを全て公開
絵を上達させるとっておきの方法とは できれば教えたくない秘密・・
アニメの背景を描く「背景美術」ってどんな仕事?
ずばり言ってしまえば、皆さんが目にしているテレビアニメや劇場版アニメのキャラクターの後ろの「背景」の絵を作る仕事です。
アニメを作るには、空・街・森・・・etcとアニメ作品のシーンによって様々な場所が必要になります。その一枚一枚を描き起こしていく仕事がアニメーション背景美術です。
背景はキャラクターやその他の映像処理と合わせて最終的に一つの映像作品となり皆さんの見る完成版の映像となっています。
当然好き勝手に描いていいわけではなく、キャラクターの色味や前後関係、時間経過、シーン内でのダメージなどアニメの内容に応じて様々な要求にこたえていく必要があります。
アニメの背景は30分のテレビアニメであれば1話につき200~400カット程必要で、それら1枚1枚を複数の美術スタッフで手分けして作業します。
大体1週間で20~40枚くらいの背景を仕上げられれば背景マンとしては及第点です。
劇場アニメであれば1500カット前後ぐらいが多いです。
枚数だけ聞くと大変そうに思えますが、今はデジタルイラストでアニメ背景を作っているので、同じアングルのものは兼用カットとして使いまわしたり、素材として他のカットに使いまわしたりしてたくさんのカットをこなします。
最近は海外に仕事を外注依頼することも増えており、想像以上のたくさんの人が携わってアニメの背景画が出来上がっています。
アニメ背景の仕事の収入はどれくらい?
アニメ背景の仕事に興味を持っている方は、背景美術の収入はいくらなのか?
ってめちゃくちゃ気になりますよね(笑)
アニメ背景の仕事をするための選択肢としては、背景会社に就職orフリーの背景マンとして仕事を受けるかの二つが主なパターンです。
会社に就職すると、基本給として初任給月15万~ぐらいからのところが多いようです。
とはいえ歩合制を併用している会社もあるので、描いた枚数が多ければその分給料も上がる可能性もあります。
背景1枚当たりの単価はテレビアニメや劇場アニメであれば2000~4000円くらい。版権と呼ばれるポスターやキービジュアルなどに使われるものだと1万円くらいです。
フリーランスの場合もだいたい単価は同じか少し高いといった感じかと思います。
ある程度の金額を稼いでいくには、月80~100枚くらいは描く必要が出てきますので、絵を描くのが早い人はアニメ背景の仕事に向いているといえますね。
アニメ背景の仕事の大まかな流れを公開
アニメ背景にはたくさんの人が携わっているというお話をしましたが、ここで、アニメ背景ができるまでの大まかな流れを紹介してみたいと思います。
何事でもそうですが、たくさんの人が携わるモノづくりには本当にいろいろな準備が必要になるんですよね。
今回はその雰囲気だけでも知ってもらえたらと思います。
以下がアニメ背景の仕事の流れになります。
大まかに説明すると、まず最初に美術設定マンが背景の設計図となる美術設定を作ります。
その美術設定に美術監督が色を塗って作品の色味の方向性を決める美術ボードを作成。
そのボードのデザインと色味をもとに、原図が来るので背景スタッフが複数人で実際に放映される本番の背景画を作成するという流れです。
次からは各セクションで活躍する美術設定や美術監督といった背景美術の役職毎の仕事について紹介していきます。
アニメ背景の土台となるデザインを生み出す「美術設定」の仕事
美術設定は、アニメ背景のそれぞれのシーンのデザインを線画で描き出す仕事です。
以前は美術監督の仕事の一部でしたが、現在は分業され、独立して美術設定のポジションが設けられていることが多いです。
原作がある作品では原作の絵からエッセンスを拾い、監督などと打ち合わせをして背景の最初のデザインを生み出します。シーンの場所の構造やスケールが一目で分かるように引きの絵で作られることがほどんどで、必要に応じて切り返しも作成されます。
繊細なパースの空間表現と、デザインセンスが求められるセクションです。
アニメ背景方向性をコントロールする「美術監督」の仕事
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一つの作品の背景美術におけるリーダー的なポジションで、実際の映像に大きな影響を与える色味を決定するための美術ボードの作成をします。
背景打ち合わせを行い背景の詳細について把握するのも美術監督の仕事。
それ以外にも、他の美術スタッフの背景クオリティをコントロールし、厳しいスケジュールを守りながらも監督や演出陣からの要求に応える背景を作ることが求められます。
背景マンとして数年以上の経験を積んで任される責任あるポジションです。
同時に、自分のやりたい美術の方向性を試すことができるので非常にやりがいのある仕事であるといえます。
設定・ボードから本番BGを量産する背景美術スタッフの仕事
美術監督、設定以外の一般の背景スタッフは、一背景マンとして美術監督の描いたボードの色味と雰囲気に合わせながら原図を元に背景画を量産するのが仕事です。外注やフリーランスを含め、多くの背景マンがこのポジションにあたります。
アニメの場合大量の背景画が必要となるので、素材化や兼用を上手く活用しながら、週に20~40枚くらいのペースで大量の作業をこなしていきます。
背景マンとして1年ぐらい働くと1000枚くらいは背景を描くことになるので画力は嫌でもアップします笑
ボードと原図に合わせて描くのが仕事ですが、原図は必ずしも細かいところまで正確に描かれているわけではないですし、ボードも引きの絵が多いので、一枚一枚の背景画を個人の力とアイディアでどれだけいい感じに仕上げることができるかが背景マンの腕の見せ所になります。
複雑な映像を作り出す背景3Dスタッフの仕事
最近はアニメ業界も3D化の波が激しく、キャラクターを3Dで動かすなんてことも多くなってきていますよね。
3D化の波はアニメ背景業界にも等しく押し寄せていて、背景の空間を3Dで作るといったことも多くなってきています。
デザインが複雑すぎて背景として描くには困難な場所や、作品を通じて頻繁に使われる場所などは多少のコストをかけてでも3D背景を作成するメリットがあります。
これからますます3D化の流れは加速していくことが予想されるので、これからのアニメ背景へのかかわり方の選択肢の一つとなっていくでしょう。
アニメ背景美術の仕事のやりがいと苦労について
アニメ制作に参加するうれしさと自分の世界を作り上げる喜び
アニメの背景美術をやっていてのやりがいはなんといっても自分の描いた絵がアニメとしてテレビや劇場で実際に放映・上映されることです。
このページを訪れてくれた多くの方もアニメは好きですよね?そのアニメに実際に自分が携わり、描いた空間でアニメのキャラクターが動いているのはとてもうれしいです。
また、スタッフロールに自分の名前が載っているのもやりがいの一つにつながっています。
気持ちの面だけでなく、会社に入れば背景の描き方について徹底的に学ぶことができる最高の環境に身を置けることになりますし、一生懸命描けば年間で1000枚くらいの絵を仕上げることになるので画力だけでなく手の速さも身につけることができます。ここまで枚数をこなす背景の仕事というのもなかなかないのです。
また、一般の背景スタッフから成長して美術監督を任されるようになれば、一から自分の考えた色で背景画面を創造する楽しみも生まれ、自分のやりたい表現を追求して試行錯誤を繰り返し、よりレベルの高いアニメ作品作りに貢献することは他ではなかなか体験できないやりがいにつながっています。
圧倒的物量とスケジュールに追われる日々
やりがいあるアニメ背景の仕事ですが、アニメの背景はカット数分の背景画必要になるため他の背景イラストの仕事に比べて圧倒的に物量が半端ないです。
テレビアニメともなれば毎週放送があるものなので、スケジュールが食いつぶされてきて製作期間が放送日に追いつかれてくるととんでもない物量を厳しいスケジュールの中で一定のクオリティを保って仕上げるというとても大変な仕事になります。
また、美術監督のような背景をコントロールする立場になると、各背景の上りを調整・修正する必要もあり、国内だけでなく海外にまで広がる外注作業者の背景画を一定のクオリティラインに落とし込むための苦労も増えてきます。
「アニメが好き」「絵を描くことが好き」という以上に、忍耐力と覚悟をもって挑む必要のある仕事であることは間違いありません。
アニメ背景を作る「背景美術」の仕事をするために必要なこと
ここまで背景美術についてのあれこれを色々と紹介してきましたが、酸いも甘いも知ったうえで実際に背景マンになるにはどのような努力、そして業界へのアプローチをしていったらいいでしょうか?
まず第一に、専門的な知識を必要とする職場であるのでそのための知識を付けなければいけません。
具体的に必要になってくるのは次の2点です。
・背景画を描くための知識と技術
・Adobe Photoshopとペンタブレットの操作知識 |
背景画を描くための知識と技術
まず何はともあれ絵を描く仕事ですので、背景画を描くことに興味があって、そのための最低限の知識や技術を身に着ける必要があります。
アニメ背景の現場では新入社員でもものの数週間~1か月ほどで実際の実務に参加することになるケースもあります。というかそれぐらい即戦力を要求されます(笑)
さすがに全くの絵の素人ができるほど背景の仕事は甘くありません。
フリーランスともなればなおさらです。
学生ないしは転職期間中にがむしゃらに絵を描きまくって実力を少しでも上げる必要があるでしょう。
【参考記事】
Adobe Photoshopとペンタブレットの操作知識
絵を描くための知識を付けて絵を描きまくりましょうと言いましたが、アナログで紙に絵を描くばかりではダメです。
現在アニメ背景の主流は手描きからデジタルへほぼ移行しきっているといえます。(一部手描きの作品・会社もあります)
そして業界のスタンダードとなっているソフトがAdobe Photoshop(アドビ フォトショップ)
アニメ背景の仕事をしたいと考えている人は、フォトショップの使い方をある程度学び、フォトショップを使ってデジタルで背景イラストを描けるようになることが技術として求められます。
就職or案件獲得に向けてポートフォリオを作ろう
Photoshopで絵をいっぱい描いて実力をつけていく過程で、就職や背景仕事の案件獲得のための背景画のポートフォリオを作りましょう。
ここで言うポートフォリオとは、自分の作品を1冊のファイルやデータとしてまとめた、自分の絵描きとしての自己紹介になるような作品集のことです。
アニメ背景の仕事を狙っていくのであれば、当然内容としては背景画、風景画等の作品を中心に構成していくことが望ましいですね。
モチーフも偏らないように注意して・・・
・様々な自然物の風景(岩場、森、空、山、草地・・・etc)
・室内の背景 ・建物の外観 ・昼、夕、夜などの時間ごとの背景 ・寄りのディティールを意識した背景 ・3点透視などパースの複雑な背景 ・俯瞰の街並み ・同じシーンの別アングルの背景 ・自分のオリジナルの気合の入った一枚 |
などなど、いろいろなパターンがあればあるほど役に立ちますし評価にもつながります。
それから、オリジナル作品だけでなく実際の背景画の「模写」を行ってポートフォリオに加えることもオススメです。
背景模写は、自分で考えて描いているだけだと思い至らない細かい点について気づき、自身の画力を高めてくれるのでぜひ挑戦してみて下ださい。
ポートフォリオの作り方や模写については↓の記事で紹介していますので合わせてチェックしてみてください。
アニメ背景の仕事「背景美術」についてのまとめ
アニメ背景の背景美術の仕事について、なかなか語られていない細かいところまで詳しく紹介してきました。
アニメが好きで、絵とりわけ背景や風景を描くのが大好きという人にはアニメ背景の仕事は選択肢の一つになるとてもやりがいのある仕事だと思います。
大変なこともとてもたくさんありますが、確実に絵のスキルを向上させることができるとても貴重な環境です。
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このブログでは背景画や風景画を描くための様々な知識を公開しています。
背景美術に興味を持ってくれた方は、ほかの記事もぜひ読んでどんどん絵を描きまくって頑張ってみてください!