「針葉樹の森の描き方が知りたい・・」
「自然物の背景・風景画の描き方の手順が知りたい」
この記事はそんな方へ向けて書いている記事です。
こんにちは!
風景イラストレーターのぺいです!
僕はアニメ背景の仕事で飯を食べているいわゆる背景画のプロです!
今回は木漏れ日の差し込む針葉樹の森の風景画のメイキング記事になります。
この記事では・・
・自然物、特に森の中の景色を描いていく手順
・針葉樹の幹の描きこみ方 ・地面のパース(遠近感)の出し方 ・廃殿のような崩れて風化した建物の描き方 |
この4点を学ぶことができます。
アニメ背景のプロとして、かなりリアルかつ細かく描きこんでいますので、風景画や背景が上手くなりたいという方にとってはとても有益な記事になっています。
ぜひ最後までご覧ください。
この絵の細かいメイキング動画もつくりました。
合わせてご覧ください。
針葉樹の森の描き方① レイアウト~地塗り
まずはレイアウトです。
今回は森の中の影と光のコントラストを活かした絵造りと、風化した神社の残骸によって長い年月の時間経過を絵の中に表現して幻想的かつ神秘的な雰囲気の作品を目指します。
遠景にかけて地面のパースをかけて、地面の距離感をつぶします。
また、針葉樹の幹の太さをコントロールして遠近感を出します。
次に地塗りです。ざっくりと・・
「地面」「水面」「幹」「手前の建物」
の4つに分けてそれぞれの基本色をつくり画面全体の雰囲気を作っていきます。
ライティングとしては、画面全体でいうと手前を中心に暗く落とし、奥のほうは明るく開けている設定にします。
手前に来るほどより暗い強い色を使って画面を構成し、逆に、遠景はより淡い色で表現します。
これは空気遠近法を使った遠近感の表現を意識したものです。
空気遠近法についてよく知らないという方は、ぜひこちらの記事を読んでみてください。
風景画における基本的な画面づくりの方法が分かります。
地面は、苔の地面と水たまりの連続で構成しています。
上手く水たまりの厚みをつぶして遠近感を出そうとしています。
この段階では水たまりは仮色として水色を置いています。
最終的に反射を映り込ませて景色のいろを混ぜ込み自然な水表現を加えます。
針葉樹の森の描き方② ~遠景から描きこんでいく~
全体の色味の雰囲気を作れたら、遠景の壊れた神社を描きこみます。
この神社は完全に日の当たる開けたところにある想定で描いています。
あまり丁寧に描きこまず、あえて荒っぽくザクザクと描いてあげるのがコツです。
そのほうが古びた感じや破壊された感が分かりやすくなります。
さらに、苔を描きこんであげたり、白っぽく剥げている表現をしてあげるとよりそれっぽくなります。
次に全体の木のバランスを調整しつつ木漏れ日と映り込みを描きこんでいきます。
映り込みが入ったことで全体の完成予想図がよりハッキリとしてきました。
木の幹を描きこみます。
今回の絵ではかなり存在感のある針葉樹。
特に手前の2本はかなり気合を入れて描きこみます。
基本光源は奥の明るい部分の反射で考え、
画面内側の幹の端を明るく、反対側は水色などの反射光を使って回り込みを表現します。
木の幹のような円柱状の形のものを描くときはこういった「回り込みの反射光」の表現をしてあげるとぐっと良くなります。
次に苔の地面の描きこみです。
ボコボコ感を意識しつつ「面」の意識をもって描きます。
基本的に地面というのは下の画像のようなひし形を意識したパース感を意識することが大切です。
木漏れ日と手前の壊れた神社の建物を描きこみました。
木漏れ日は大きさやシルエットに細心の注意をはらいつつ、手前の神社のシルエットと上手くぶつけて形を見えやすくさせるよう意識しました。
手前の建物はこの絵で一番描きこみを頑張るところです。
細かい木目やダメージ表現、苔の細かい描写など、存在感・説得力を持たせる質感表現を心がけます。
材質が木なので、剥げたようなダメージ表現をすることでかなりいい感じの味が出せます。
似たような材質のものを描くときがあったらぜひ試してみてください。
針葉樹の森の描き方③ ~フレアの表現~
最後に、映り込みの木のシルエットの再調整をして、仕上げに木漏れ日のフレア光を描き入れます。
なんとなくのフレアではなく、地面に落ちた木漏れ日にスポットライト的に狙って描き入れます。
レイヤーは「覆い焼き(リニア)加算」というレイヤーモードにしてあげます。
このレイヤーモードはこういった光のフレアを表現するときにとても便利なのでぜひ覚えておきましょう。
フレアの位置に狙って細かいチリのようなものを描いてあげると、その瞬間を切り取ったかのようなよりリアルな表現につながるのでオススメです。
針葉樹の森の描き方まとめ
いかがでしたでしょうか?
針葉樹の森のような自然物の風景画を描くときは・・
・地面の厚みや木の幹の太さに気を付けてパース感をだす
・空気遠近法で遠近感をだす
・キーとなる木の幹や手前の構造の描きこみをがんばる
・木の幹は回り込みの反射光を入れる
・フレア光のレイヤーモードは「覆い焼き(リニア)加算」
このあたりのポイントを気を付けてみるといいでしょう。
今回の絵はほんの一例ですが、ぜひ参考にしてみてください。
自然物の風景の描き方は以下の記事でも学べるのでぜひ参考にしてみてください。